骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、加齢やカルシウム不足・運動不足が原因で骨量が減少し、骨の強度が失われる病気です。カルシウムやコラーゲンなどの骨量が減少すると、骨が脆くなりスカスカとなってしまい、骨折を起こすリスクが高まってしまいます。骨粗鬆症になると、些細な衝撃でも骨折しやすくなってしまい、要介護状態となりやすいため注意が必要です。
日本における骨粗鬆症罹患者は、約1,280万人と推定され、40歳以上では男性が12.4%、女性が26.5%とされています。
高齢者の骨折には要注意
骨量のピークは、20~30歳頃です。それ以降、加齢と共に骨量が減少していきます。それに伴って、骨密度が減少すると骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。特に、高齢の方が骨粗鬆症になると、初期段階で身体の重みで背骨が潰れてしまったり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折を引き起こします。さらに、高齢者が骨折になると、要介護となるため、大きな問題となっています。ちょっとした転倒でも骨折を招くため、骨粗鬆症となる前に、適切な生活改善や早めの治療で、骨密度減少をくい止め、骨折リスクを下げることが可能です。
女性は50歳前後から骨量が急激に減少
骨粗鬆症は、年々高齢者の方、特に女性に多く見られます。更年期以降は、特にエストロゲンなどの女性ホルモン分泌が低下します。エストロゲンは、骨の新陳代謝において骨からカルシウムが溶け出すのを抑制します。女性の閉経後は、このエストロゲンの分泌量が減少するため、骨吸収のペースが速くなり、次第に骨形成が追い付かず、骨が脆くなります。
このため、女性は閉経を迎える50歳前後から骨粗鬆症の検査を一度受けることをお勧めしております。その他、極端なダイエットによる栄養不足・偏食・過度の喫煙や飲酒なども骨粗鬆症の大きな原因とされています。
骨粗鬆症の検査
骨密度検査・骨代謝マーカー検査・X線検査・身長測定などを行います。
骨密度検査(超音波法)
骨粗鬆症の検査で行われる代表的な検査です。かかとやすねの骨に超音波を当てて骨密度を検査します。X線を使用しないため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方も測定可能です。測定基準は、20~30代の若い方の平均値を100%とし、それに対して骨量割合を数値化されます。若い人の約80%未満だった場合は要注意とし、約70%以下の場合は骨粗鬆症と診断されます。(これまでに骨折をしたことがなく、骨密度を減らすその他の疾患が無い場合)
予防と治療について
骨粗鬆症の原因は、加齢や閉経のほか、食事や運動習慣も大きく関わっています。そのため、食事療法や運動療法は、骨粗鬆症の予防や症状改善には不可欠です。生活習慣病と骨粗鬆症は非常に影響しあっています。特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、骨粗鬆症の最も大きな危険因子となります。さらに、慢性腎臓病や糖尿病も骨折リスクが高まると言われています。
このように、骨粗鬆症は「骨の生活習慣病」とも呼ばれるほど、日頃からの生活習慣は大きく影響を及ぼします。ただし、すでに骨粗鬆症と診断された場合は、薬部療法を中心に行います。
食事療法
骨粗鬆症の治療や予防に欠かせない栄養素は、カルシウム・タンパク質・コラーゲン・ビタミンD・ビタミンKです。
カルシウムの必要摂取量は、食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日が推奨されています。また、積極的に摂取したい栄養素を含む食品は以下の通りです。
①カルシウム
乳製品・牛乳・しらす・ししゃも・イワシ・干しエビ・ワカサギ・ひじき・小松菜・モロヘイヤ・大豆類・えんどう豆など
②タンパク質
肉類・魚介類・乳製品・大豆類・卵など
③ビタミンD
しらす干し・いわしの丸干し・サケ・サンマ・ウナギ・カレイ・あんこうの肝・煮干し・干し椎茸・きくらげなど
④ビタミンK
納豆・キャベツ・小松菜・ほうれん草・菜の花・サニーレタス・モロヘイヤ・春菊・おかひじき・ブロッコリー・カイワレ大根・抹茶など
運動療法
適度な運動を行い、負荷がかかることで骨が増加して強くなります。また、筋量を上げることで身体をしっかりと支え、体幹も強くなることでバランス感覚が上がり、転倒を防げます。激しい運動をする必要はありません。軽い運動でも継続することで、改善効果が期待できます。
薬物療法
骨粗鬆症が進んだ場合は、薬物療法を行います。主な治療薬は、以下に挙げます。
① 骨破壊を抑える薬
- ビスフォスフォネート製剤
- 選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)
- ヒト型抗モノクローナル抗体製剤(デノスマブ)
② 骨の材料を補う薬
- カルシウム製剤
- 活性型ビタミンD3製剤
- ビタミンK製剤
③ 骨をつくる薬